歴検日本史修士が語る地名・地形・歴史

歴検日本史修士が地名・地形・歴史について気ままに語ります。 日本史に興味を持ったきっかけはNHK大河ドラマ「葵徳川三代」。 小学生の頃から歴史能力検定を受験し、2013年に歴検日本史修士の称号を賜りました。 大学では中世史を専攻しましたが、現在は学問の世界からは離れています。 地名や地形は歴史を読み解く重要な要素です。 現在住まいを置いている群馬県前橋市を中心に書いていこうと思います。



本書の大前提として、著者の三宅和朗氏は『今昔物語集』などの諸説話では、昼と夜の間の境界的時間帯として朝・夕があったことを指摘しています。

古代の説話では、夕方は鬼などの異類が活動を始める時間でした。
三宅氏は、同様に境界的時間帯である朝にも異変が起こった例もありますが、むしろ朝は夜の間に異類が起こした異変を人々が発見し、驚く時間帯であったと述べています。

そのため、朝・昼・夕・夜という4区分は、朝・昼と夕・夜に分けられるというのが古代人の心証であったというのが三宅氏の主張です。


また、古代においては機械的な時刻制が都や辺境諸国にしか浸透していなかったというのは、古代の人々の生活を考える上で重要な指摘であるように感じます。

古代国家は7世紀後半に漏刻を用いた定時法を導入しますが、文献から漏刻が設置されたと確認できるのは中央の陰陽寮と大宰府、陸奥国に加えて伊勢神宮に限られます。
それ以外の諸国では依然として日時計や香時計による不定時法が一般的だったのです。

そのため、古代の多くの地域社会においては正確な時間の計測は難しく、基本的には朝・昼・夕・夜の自然による時間感覚が生きていたというのが本書のまとめだと三宅氏はエピローグで述べています。

 
    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このブログをご覧の方の中には昨年12月にNHKで放送されたドキュメンタリー「春日大社 よみがえる黄金の太刀~平安の名宝に秘められた技~」をご覧になったかもいらっしゃるのではないでしょうか。

http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92393/2393116/

この番組中で復元までの3年間が取り上げられた、国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」も展示されている特別展「春日大社千年の至宝」が東京国立博物館で開催されていたので行ってきました。
IMG_yo7d8p

図録は春日大社宮司の花山院弘匡氏と東京国立博物館の土屋貴裕氏による概説にはじまり、展示作品の図版と解説に加え、以下の論稿が収録されています。

◎東京国立博物館ほか編『特別展 春日大社 千年の至宝』(NHKほか、2017年)。
・土屋貴裕「誓願寺所蔵「春日宮曼荼羅」について」
・酒井元樹「春日大社刀剣「試考」」
・恵美千鶴子「春日社参詣と春日にまつわる和歌」
・松村和歌子「春日大社の信仰と御神宝」
・池田宏「春日大社の甲冑」
IMG_20170305_121846
コラムも5編掲載されていて展示を復習するのに役立ちます。

会場で図録を購入すると、
IMG_20170305_121921
藤をかたどったキーホルダーがついてきます。

この日は江戸東京博物館の「戦国時代展」でも散財したばかりだったので、グッズは買わないつもりだったのですが、先述の太刀に描かれている猫のチケットファイルに目を奪われてつい買ってしまいました。
DSC_0010

会期は3月12日までで、巡回の予定はないみたいです。

http://kasuga2017.jp/



    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote



著者の山本隆志氏にとって本書は、『新田義貞』(2005年)に次ぐ2作目のミネルヴァ日本評伝選の著作です。

鎌倉幕府を滅亡に導き、南朝に仕えた新田義貞と室町時代の有力守護大名で応仁の乱で西軍を指揮した山名宗全は生きた時代も異なり、一見すると関係がないように感じるかもしれません。

しかし、山名氏の祖である山名義範は新田氏の祖である新田義重の子であり、山名氏が山陰に地歩を固めたのは宗全の曽祖父にあたる時氏が足利尊氏から伯耆国の守護に任じられたことに始まります。

山名氏は山陰に進出し、京都政界で活躍するようになった後も発祥の地である上野国山名郷への関心も捨てておらず、山名八幡宮の別当職は山名氏によって補任されていました。
本書には、山名八幡宮から送られた祈祷巻数に対する返礼の書状が引用されており、山本氏は細川氏との争いの中で宗全が先祖の地での戦勝祈願を求めたと述べています。

本書のサブタイトルとなっている「金吾は鞍馬毘沙門の化身なり」とは、一休禅師が宗全を評した漢詩の一節です。
一休の宗全評には、京都政界において修羅の道を自ら引き受けて進んでいった宗全に対する同情が感じられると山本氏は述べています。

山本氏は本書において、下剋上の世に力まかせに挑んだと評されることの多い宗全の内実に迫り、一筋縄ではいかない都市京都で悪戦苦闘している姿を、同時代の一次史料を用いて描いています。

◎山本隆志『山名宗全』(ミネルヴァ書房、2015年)。
http://www.minervashobo.co.jp/book/b194032.html


    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

このページのトップヘ